ティーチェ病とは別名を肋軟骨炎と言い、肋骨が胸の胸骨との間で緩衝役としての軟骨組織(肋軟骨)が存在しており、そこの炎症を言います。
肋骨周りの痛みで怪我のきっかけがある場合、胸や脇のところの痛みを起こすと肋骨の骨折を疑う場合が多いのですが、この軟骨部分はレントゲンにうつらないため胸の前方部分が痛い場合は、肋間神経痛かティーチェ病との鑑別になるのが一般的な解釈かと思います。
肋軟骨は、先ほど簡単にご説明したように肋骨が動く際の緩衝部分のため、肋骨がいかにバランス良く動いているかがポイントとなります。
今回は脊椎の機能制限が起こした例を3D動画を用いてご紹介します。
症例:女性
1週間前から左胸の下あたりに動作時痛があり、来院。
特に思い当たるきっかけがなかったため、触診から問題点を探ることにしました。
患部は第6肋骨で、第7肋骨が後方回旋しているために、やや内方に凹んでいるようなイメージです。
最初はRib6/7で回旋しているためにやや前方に押し出されている形になった第6肋骨に力がかかったと予測して第7肋骨が付着している第7胸椎の調整から行いました。
やや痛みは軽減するも、かなり良くなったという印象には程遠いため、また違ったポイントを探してみます。
右肩甲間部に張りがあり、触診してみると第5肋骨の右側が後方に変位しています。
つまり左の第5肋骨は前方に移動しています。
上部胸椎が全体的に右回旋しているために、前方にある胸骨は右へと移動を強いられます。
ですが第7胸椎は左後方にあるために、右に回旋を始めた胸骨のために肋軟骨に牽引力が働きます。
第6肋骨はその間にあり、どちらの力を受けていたかは謎ですが、第5胸椎の右後方を改善させると痛みが10→1になり、その状態で前屈すると痛みがありません。
この肋軟骨炎も昔はかなり難儀したものでしたが、胸椎や肋骨の触診がだいぶ詳細にわかる様になってから比較的容易に取れる症状となってきました。
変わらず全身を読み取ることが必要な場合もあるため、肋軟骨の機能的触診まで発展させていきたいと思います。