パーキンソニズムによる声のかすれなどの症状でお困りの方で来院された方が、一回目の治療でかなり改善されたので、前回投稿した「声のかすれ」に詳細を加えていきたいと思います。
今回は以前の投稿で記載した喉頭斜位による声帯へのストレスが影響した症例です。
症例
男性:70代 パーキンソニズムと診断され服薬中
手の震えも起こっていたが、振戦に対しては服薬により安定しており、声のかすれ(嗄声)や他の自律神経症状に悩み当院へと来院に至ります。
ポイント
手の震えが服薬により安定しているのであれば、声の問題は喉周囲に存在する固有受容器の問題であることが予想できます。
→付随する疾患や症状を確認しました
同時期に歯軋りもひどくなり歯医者にて相談するが、特別な治療はされずに至っていました。
歯軋りの症状から、顎から咽頭部にかけてに存在している関節受容器や筋肉に含まれる固有受容器の問題は予想できます。の問題点を見つけて治療をしてみることにしました。
→舌骨に付着する筋肉には、筋紡錘は存在しないという研究結果がありますが、詳しくいろんな論文を調べてみると、サルや人間では筋紡錘が検出されるという結果が出ているため、今回のようにパーキンソニズムの症状を悪化させ得ることは予想できます。
既往歴:心疾患
既往歴に心臓疾患もあったので、反回神経の機能不全も予想できたため、そちらに対しての神経促通も行っています。
治療(頸椎・声帯・喉頭軟骨)
顎関節の動きを確認すると、下顎が右側へとスライスし、回旋も同時に混ざっていることが確認できました。
喉頭軟骨を触診すると左から右側へと運動制限があったため、喉頭斜位の可能性も考えられます。
頸椎は第3第4腰椎で変位が強く、その調整で顎関節の機能も改善しました。

ご覧のように声帯がある喉頭蓋は、第4頸椎付近にあるため、頸椎の影響によって歪むことがよくあります。
治療(第3胸椎・星状神経節・反回神経)
前回のブログでも詳しく説明した反回神経についてですが、今回は顎関節の機能問題から頭蓋にある茎乳突孔から出てくる迷走神経のストレスか、大動脈弓で反回する反回神経のストレスかといった予想で第3胸椎の変位も調整することにしました。

治療結果
頸部や胸椎の治療をしている最中から声が出しやすい気がする、とおっしゃっていただいていたので、改善が期待できていました。
数日後、嘘のように声が出るようになったという喜びの連絡を受けました。口や喉の症状は緩和しましたが、その他にも自律神経症状を抱えていたのでそちらの経過をみながら通院することになりました。