「発声する」当たり前に行なっていることですが、時にそれが障害されることがあります。
甲状腺の手術によって障害された人、肺の病変によって障害された人、喉のポリープによって障害された人、原因は分からず緊張性もしくは痙攣性発声障害と診断された人、様々な方がいます。
発声の仕組みを知って対応することで、闇雲な治療ではなくなります。

だんだんと声が出なくなり、最終的には心療内科を勧められました。

声が出ない理由には、身体の問題が必ず潜んでいます。いくつかポイントがありますので、少しでも声が出やすくなる場所をまずは探しましょう。
声帯の機能解剖

図の上側が首に近い方です。
左右にトゲのような形に出ている被裂軟骨に声帯がくっついており、その被裂軟骨が動くことで、声帯の張力を変化させ、息が通ることで起こる声帯の震動で声が出る仕組みになっています。
被裂軟骨や、その下にある輪状軟骨が傾いたりすることで声帯の機能が失われてしまうことも発声障害の1つなのです。
そしてこの部分がいろんな治療を試したけれども、改善しない理由であったりします。
当院では、この輪状軟骨などを調整することで発声障害の改善に役立てています。
声帯を支配する反回神経
冒頭で、甲状腺の手術をした方や肺や心臓の病変によって声が出なくなる方がいるという話をしました。
これは、声帯を支配する反回神経が障害されるために起こっているからです。



副交感神経の根幹である、第10脳神経の迷走神経は、気管や声帯を支配する神経の反回神経となる枝を出しています。
頭から出てきた反回神経は、左は大動脈弓、右は右鎖骨下動脈をぐるっと迂回してから首にも戻ってきます。
こういった特徴から反回神経という名前がついています。
心臓の病変で影響が受けるのは、この心臓周りを回ってくるからで、肺疾患も同様です。
甲状腺の真裏を反回神経が走行するため、甲状腺手術によって反回神経が傷つくことも多いため、甲状腺の問題も声に影響が出ます。
そういった病変以外でも、その長い走行経路ゆえに、体の傾きなどによって障害されることも多く、当院では、背中や腰の治療によって反回神経にかかる負担を取り除く治療を行なっています。
もちろん病変が見つかっている方は、病院への受診は絶対ですので、併用した治療としてご理解ください。
輪状軟骨の調整とセルフケア


首の前面にある輪状軟骨や甲状軟骨、舌骨は比較的触りやすい骨のために、セルフケアの方法もご紹介しています。
治療を通じて、「輪状軟骨がこう傾いている」や「舌骨がこうひっぱられている」など説明を加えて、それに対するセルフケアを教えています。
腰や背中の影響も受けることがあるため全身の調整が必要となってきます。
そちらに関してもできる限りのセルフケアを行なっていただき、次の治療までに体が元に戻らないようにして治療を前進させていきます。