視線の移動 神経的メカニズム

脳のイラスト不定愁訴
脳のイラスト
患者さんA
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世界がグルグル回るようなめまい。メニエールかなと言われました。

にしむら治療院
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「メニエール」という症状自体未だ、よくわかっていないとされていますが、視界が回るという感覚を引き起こす神経メカニズムについてご紹介しますね。
この機序の部分を理解して治療に当たると改善することが多いです。

世界が回る経験をする神経学的なメカニズムについては、視線と頭部の運動を説明した後、最後に記載しています。

視線を動かす際には、その距離に応じて異なる運動を行います。

前回、眼球運動について記載した内容というのは、頭が固定された状態での運動ですが、今回は、頭部と眼球の協調した動きについてです。

視線と頭部の運動

頭部は眼球よりも大きいため、視線が先行して動き、その後すぐに頭部が運動を始めます。
頭部の動きに合わせて視線は、【前庭動眼反射】と呼ばれる頭の動きに合わせた眼球運動の補正が入ります。
視線が大きく移動する時には、眼球と頭部は同時に同じ方向に動きます。
視線が終わる頃に前庭動眼反射を行い、頭部の動きを代償して視線を安定させます。

眼球運動信号を持つ脳の上丘ニューロンは、首の筋肉を動かす網様体ニューロンにも投射しており、これによって興味の対象に目を向けるための眼球と頭部の協調運動を可能にしています。

簡単に想像ができるでしょう。
もし首を想うように動かせなかったら、眼球運動も自由に動かせるでしょうか?

ちなみに寝違えた時に動かない首の方向へ眼球を動かすのを繰り返すと多少首の動きが改善します。
これも眼球と首の動きが相互に作用しあっている証拠でもあります。

眼球を動かす動眼筋の筋繊維

首の筋肉には、筋紡錘と呼ばれる筋肉の張力を感知するセンサーがたくさん付いていますが、眼球を動かす外眼筋には筋紡錘はないと言われています。

首の筋肉の筋紡錘による筋肉の張力の情報は、今首がどの角度にあるのかという情報となって脳に送られ、その情報に合わせて目の位置を変化させるべく指令が下ります。

この筋紡錘の異常はごく普通に起こるため、首の筋肉の異常があり、外眼筋の疲労などにより動きが悪い場合、正常な情報が送られるでしょうか?

首の動きと眼球の動きを検査していくことで、よくわからないめまいやふらつきも、少しずつ解明し、治療を前に進ませることができます。

眼球運動の機能
眼球運動の機能

首の筋肉と視界

この首の筋肉と眼球運動については面白い研究がいくつもあり、
首の筋肉に対して振動刺激を与えると視界が歪むという研究もあります。
※振動を与えられた筋は収縮したという錯覚が起こることを利用した研究

首の筋肉にある筋紡錘が刺激を受けることで、脳内で作っている視界が変化してしまうためです。

この「視界が歪む」や、「世界が回る」という感覚は、メニエールの回転性めまいとも一致するので、意外とメニエールと診断された方の多くは、こういった頸椎や首の筋肉の異常な興奮を改善すると良くなります。

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