最近は、月刊誌の外科系の本を読み漁っているときに3D-CT画像を拝見することができて以来、触れている場所の深部や反対側でどんなことが起こっているのかを考えて治療に励むようになりました。
するとかなり良い結果へと繋がっています。
3Dモデリングを自分で創作し、色々と動かしていると触れられない部分がどのような状態になっているか想像ができるようになってきました。
今回はすべり症を持っているかたの神経痛と仙腸関節障害が改善した例をもとに3Dで立体的に状態をご説明していきたいと思います。下記の動画は最初に作成した3Dモデリングの仙腸関節です。
すべり症と神経根症
腰椎すべり症・分離すべり症がいかにして神経障害へと繋がるかをまず説明したいと思います。
2020年の3月の外科の雑誌にヒントが書いてありました。
M2plusの整形・災害外科雑誌のリンク:https://www.m2plus.com/content/1257
「低侵襲治療の最前線」というテーマでアスリートの椎間板性腰痛の内視鏡手術(椎間孔形成術 foraminoplasty)について書かれている記事で3D-CT画像による椎間孔の狭窄が誰でもわかるような画像で書かれていました。
そのほかにも参考になる記事がたくさんあったのですが、それを拝見してすべり症・分離症問わず、椎間関節の異常によって椎間孔が容易に圧迫を受けることを実際のCT画像で理解できてきました。
早速3Dモデリングで椎骨を色々動かしてみると、確かに椎間孔が上関節突起によって圧迫を受けることがわかります。
後日、症例をもとに触診した状態をモデリングしてみると症状と一致するのがよくわかります。
症例 第4腰椎すべり症
症例:70代 トレーニング中に腰に違和感、その後に腰痛を発症
レントゲンですべり症を確認。痛みの位置も第4腰椎部と一致するためすべり症による腰痛と診断を受ける
前屈がほとんどできない状態でしたが、初診時に腰痛は消失し前屈は床からー20cm程度まで改善。
その際に腰痛よりは右の骨盤部分に痛みを感じるようになりました。
1回目の治療では第4腰椎のすべり症に加えて左回旋を椎骨がしていたので回旋の治療、そして第3腰椎が後方かつ右下方に変位していたのでその治療を行いました。
上の動画を拝見するとわかると思いますが、L3/4の椎間孔が広がったのだと思います。
2回目・3回目と治療する度に前屈角度が改善し4回目で床まで触ることができ、腰痛発症前よりも柔らかくすることができました。
3回目・4回目の治療は腰椎よりも右の仙腸関節の治療をメインとしました。
これも第4腰椎のすべり症と関連していたのですが、第4腰椎及び第5腰椎は腸腰靭帯という靱帯で骨盤を安定させる靭帯を持っています。
大きな動きを制動する靭帯という組織ですので、椎骨が動けば動くほど、その反対側の付着部位に対する寛骨の動きも出現してきます。
この影響によって右仙腸関節も当初はガチガチで動くことがなかったですが、腰椎の状態が安定したことにより数回目から仙腸関節の治療もできるようになってきました。
以前MRIを触診で得た情報と比較を何度もして治療にあたることで良い効果が得られるようになったというのをお伝えしましたが、この3Dモデリングはそれ以上の成果を出せています。
触診が間違っていれば、MRIもモデリングの技術も意味は全くありませんので何よりも触診と治療技術の練習を欠かしてはなりませんが、正しく触れれば症状改善への糸口はモデリングを参照してだいぶ見えてくるようになりました。