心臓バクバク 不整脈? 背中も痛い 田町駅にしむら治療院・さいたま新都心アギトス鍼灸整骨院

前回の内臓のブログの後に書く予定としていた呼吸機能についてですが、次回に延期致しまして、今回は、「心臓がバクバクして胸や背中も痛いんです…」という症例に対する良い結果が出たので先にそちらの症例について考察してみます。

呼吸器は循環器とも密接なので、まず、心臓に対する治療から深く考察してみます。


症例

症例:男性 50代 基礎疾患はなく普段から腰痛や足の張り、肩こりに悩む

現病歴:
朝、目が覚めた時に背中の張りや重ダルさがあり、クーラーで当たって寝て筋肉が強張ったからかなと考え、少しストレッチやトレーニングをしていた。

その後少し経ってから、心臓がバクバクいい、胸や背中がズキズキ傷み始めたため、すぐに病院で検査を行いました。

結果は心電図も血液検査も問題なく、ただ血圧が160/80と高かった。
しかし拡張期血圧は落ち着いていたため、痛み止めと胃薬の処方で経過観察となった。

服薬後も続く痛みで辛く、当院に疼痛緩和の問い合わせがあり、医師の診断から重篤な疾患は見つからなかったため、肋間神経痛を疑って治療を行いました。


治療直後は、腰が重い程度で心臓のバクバクも胸や背中の痛みもなくなり、翌日はさらに改善が見られて仕事に戻れたと連絡がありました。

さて、治療結果から、今回の体に起こった変化と、もし違った要素で症状が起こっていた場合のための別の視点の検討をしてみましょう。

 

研究・考察

まず、心臓の収縮の調整がどこで行われるのか。

洞房結節がペースメーカーの役割を果たしているので、洞房結節に対して何が変動をきたす要因となるのかを考えていきます。

①ベーンブリッジ反射(右心房の還流増加に伴い、拍出量を強くする)
②大動脈神経反射、頸動脈小体反射(化学受容器Co2に反応)
③アシュネル反射(三叉神経1枝−迷走神経の反射)

鍼灸や徒手による手技で作用できる部分を考えると、こう言った学校で習う神経反射は利用し難い。

 

心臓神経
心臓神経

参考図書:ネッター解剖学アトラス 南江堂

※素晴らしい本ですので、みなさん是非買いましょう。解剖学書は3、4冊見比べるのをお勧めします。

ここで幅広い内臓系の治療として使われる【星状神経節】(上の図で頸胸神経節)に注目したい。

花粉症や耳鳴りに対する治療としても使われる星状神経節ブロックは、ある副作用があることが知られています。

ごくまれに不整脈が起こり、その考察の研究論文はいくつかあるようで、その1つを読み進めると今回の症例で起こった変化の1つや、他の治療ポイントの検討ができました。

 

結論を言うと、星状神経節、特に右の星状神経節は洞房結節を支配しているので第1胸椎の右側に何かしらのアプローチをすれば良いという見解です。

右の星状神経節の神経支配:洞房結節と心室の前壁→ブロックにより徐脈化
左の星状神経節の神経支配:房室結節と心室の後壁→ブロックによりPR間隔が延長

つまり、右の星状神経節の興奮を抑えることができれば、異常な神経の興奮による不整脈は改善する可能性があることがわかります。

実際に、不整脈の方に星状神経節ブロックが有効であるとされているのは、この理論からですし、鍼灸や徒手医学においても経験的に効果を得られています。


今回の症例の考察

 

今回の場合においては、不整脈など心電図での問題は見られなかったため、肋間神経痛によるものであると理解できます。

Th8など、中部胸椎・下部胸椎での側屈変位(左屈変位)の改善でかなり改善したことからも、星状神経節(Th1〜4)での効果ではないことは推測できます。

神経節の解剖学的位置
神経節の解剖学的位置

参考図書:ネッター解剖学アトラス 南江堂

しかし、もしかしたら下部胸椎が第1胸椎などに多関節筋や運動連鎖を通じて、影響を与えることもあるので、二次的に星状神経節に対してアプローチできたのかもしれない。

 

今回のような不整脈があった場合でも、肋胸椎の施術や、星状神経節への調整で症状を軽減することもできます。

 

今回のように、下部胸椎などで効果のである場合もあるが、星状神経節に対する調整は様々な効果が期待できるため、しっかりと自律神経の解剖を理解する必要があります。

耳鳴りと難聴を胸椎への矯正で治療したことからカイロプラクティックは始まったそうです。

おそらくこれも星状神経節へのアプローチが成した技だと思います。

現代人は、第1胸椎は前方に変位している人が多いため基本押す動作による治療は難しいパターンの患者さんがほとんどです。
理論は知っていてもなかなかうまく治療ができないため、勉学以外に練習を続ける必要はあり、試行錯誤は今後も続ける必要がありそうです。

 

しかし、頭が痛いや胸が痛い(背中が痛い)は命に関わる深刻な問題の前兆も否定できないため、油断はできません。
かかりつけ医をもち、以後の健康管理にも気をつけなければなりません。

皆様しっかり検査は受けましょう

 


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不妊治療 左卵巣の腫れ 十二指腸と第一腰椎の調整の関連 東京都港区三田にしむら治療院/さいたま市アギトス鍼灸整骨院

新しい勉強の課題は、新規で来られる方や久しぶりに再来院される方によってもたらされ、かつその課題は既存の方でうまくいかなかった方を改善する一歩に繋がったりします。

これまでにうまくいかなかった方には、当時出会った頃には至らなかった点で申し訳なく思いますが、これから向き合うかもしれない方々の症状のためにも、こうやって少しずつ治療を成長させなくてはならないと感じる今日この頃。

 

今までは、筋・筋膜、関節、神経とかなり深く学んできたつもりではありましたが、ここに内臓と血管を付け加えるとかなり詳細まで人の体を見ることができるようになります。

今日は、不妊治療(妊活)に関わる点をご紹介したいと思います。


症例:

これまでに妊活を目的とする方や、腰痛や足の痛みなどを主訴として患ってきた方の中に、こんな随伴症状(副症状)を抱えている方がいらっしゃいました。

①左下腹部の張り(当初は便秘と関連付けをしていました)

②左の腎臓の機能低下(40代前半にして左の腎臓は機能を著しく低下していました)

③既往歴:左陰嚢水腫(男性:子供の頃に手術をしていました)

④左卵巣の腫れ(左の卵管が狭い、左の卵巣からの排卵が少ない)

 

こういった随伴症状を骨盤内神経の機能低下による症状として、主症状である妊活や股関節治療の一環として、腰部や骨盤の治療を行っていました。

 

しかし、これらが呼吸(横隔膜)、左卵巣(精巣)静脈、十二指腸とで繋がっていることを知ったのはつい最近です。


機能解剖:

それでは機能解剖学で、これらの症状を紐解いていきましょう。

まずは、機能性ディスペプシアについて記載した部分と重なりますが、

※機能性ディスペプシアについて書いたブログはこちら 胃の痛み・足のしびれ 神経障害と内臓

胃十二指腸 第一腰椎
胃十二指腸 第一腰椎

胃から繋がる十二指腸(上の図緑)は第一腰椎の高さに始まり、第2第3腰椎付近で後腹膜と接続して固定されています。

第1腰椎付近で胃の幽門から十二指腸に至るのですが、この付近では、腹膜内臓器となるため、小網で腹膜と連結してはいるものの、可動性に富む状態です。

トライツ靭帯 十二指腸
トライツ靭帯 十二指腸

十二指腸は横隔膜からなる(今回はこの部分の詳細は割愛します。次回に呼吸と胃の関連で書く予定)と言われているトライツ靭帯(写真黄色で光っている部分)によって、回腸となる前の蛇行部分で第2第3腰椎付近に固定されています。

下部胸椎や上部腰椎への治療が胃腸の機能を改善させるのは、今までも特別なことではありませんでした。

しかし、トライツ靭帯が横隔膜の一部からついていることに気づいた今、なかなか改善しなかった胃腸障害や、呼吸機能の治療に大いに役に立ってくれます。
(※呼吸機能とトライツ靭帯の詳細については次回にアップする予定です。)


 

今回は、妊活との関連をテーマにトライツ靭帯と生殖器の関わりを述べたいと思います。

 

不妊治療で相談される「左の卵巣での卵細胞の発育が遅いみたい」「左の排卵ができていない」「左の卵巣が腫れていると言われました」

『では左の卵巣を支配している左の腰椎で悪い部分を探そう』というのは必ず正解とはならなかったのはこのトライツ靭帯が関係していたようです。

 

左精巣(卵巣)静脈
左精巣(卵巣)静脈

 

写真ではピンク色で描かれている静脈が左の精巣静脈です。(女性であれば卵巣静脈)

(※乳幼児での陰嚢水腫や鼠蹊ヘルニアではこの静脈ではなく、腹膜から伸びて起こる腹膜鞘状突起が関連します)

左卵巣静脈
左卵巣静脈

左卵巣静脈は右側と異なり、左腎静脈につながります。(右側は、そのまま下大静脈に繋がる)

この左の腎静脈は上腸間膜動脈と腹大動脈によって圧迫を受けることがあります。
(重篤だとナッツクラッカー現象と言われる稀な疾患病態が存在しますので、血尿や下腹部痛がある方は、泌尿器科を必ず受診してください)

上腸間膜動脈 トライツ靭帯 左腎静脈
上腸間膜動脈 トライツ靭帯 左腎静脈

 

つまり左の卵巣(男性だと精巣)が腫れる原因の1つに、トライツ靭帯や上腸間膜動脈による圧迫があるということです。

そして話を戻すと、トライツ靭帯は横隔膜の右脚からなると言われているので、横隔膜が付着する肋骨や腰部と関連します。

さらに、十二指腸は後腹膜臓器のため腰部(特に第2・第3腰椎)との接続も強く、その全体の位置関係からトライツ靭帯(組織学的には伸び縮みの少ない組織である)の緊張度と左腎静脈や左卵巣(精巣)静脈の圧迫を起こすとわかりました。

 

このところ内臓や血管の走行にも意識を向け始めたところ、思っても見ない治療効果が出ることもありますが、簡単だと思っていた五十肩の治療で苦戦したり、これならすぐ治せそうだなと思っていた坐骨神経痛も治せなかったりと一喜一憂する臨床の日々です。

また新たな勉強の課題に直面することで、今までに良くできなかった症状をまた1つ改善できる喜びとして感じつつ、人間の体を理解するという途方もない道を漸進していきたいと思います。

 


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