肩に痛みを感じる患者さんの中で、動作時に痛みが放散して現れる方はかなり多くいらっしゃいます。

腕を上げていくと腕の辺りが強く張るんです。

腋窩神経の絞扼神経障害が考えられるな・・・

腕を上げると肩に詰まった感じと肩甲骨の後ろ側が張るんです。

肩のインピンジメント自体に棘下筋の緊張が関わっているか、肩甲上神経が機能低下している可能性があるな・・・
今ご紹介したように、肩の痛みとその部位からいくつか疾患が予想できます。
以前に、肩甲骨の運動制限が肩鎖関節や胸鎖関節の障害によって引き起こされ、結果、胸郭出口症候群のような神経障害が起こる事例をご紹介しました。
今回は、紹介した腕神経叢の障害とは異なる神経の障害について肩甲骨の状態と神経の走行を紹介しながらご説明します
肩甲上神経と腋窩神経の走行

腋窩神経は、一般的には、『四辺形間隙 QLS』と呼ばれる腋窩の部位での絞扼神経傷害が有名で、肩甲上神経は『上肩甲横靭帯』の下での絞扼神経障害が一般的です。



参考文献である船戸先生の肩甲骨の神経のページはこちら
参考図書:骨格筋の形と触察法(P.170 小円筋)
参考図書:運動器の臨床解剖アトラス(P.77 QLSによる腋窩神経障害)
これらの神経が障害されている可能性がある場合、肩甲骨の可動性をチェックしなければなりません。
肩甲骨の機能検査
烏口突起の触診と肩甲骨の外転の可動性については動画でご紹介していますが、今回の症状の場合は、肩甲骨の上下左右そして回転の動きをチェックして機能制限のある方向を突き止めていきます。
参考図書:四肢のマニュピレーション(臨床で利用している検査と治療法)
肩甲骨の屈曲伸展変位と神経障害

筋肉による障害として知られる絞扼神経障害も構造によって関節運動学的な問題が原因となる神経障害も数多く存在します。
図で説明したように、肩甲骨の屈曲位(いわゆる猫背など)や伸展位(胸を張っている姿勢など)に固定されていた方が、そこに腕を挙げるなどして神経をさらに引っ張るようにすると、最初に紹介したように、様々な部位への放散する痛みや筋肉の張りに繋がっていきます。
今回は肩甲骨の矢状面での機能制限が起こした神経障害をご紹介しました。