右足に力が入らない 坐骨神経痛

仙腸関節の障害腰・股関節の障害
仙腸関節の障害

坐骨神経痛の中には、感覚神経の障害によって起こる「痛み」や「感覚がないといったしびれ」だけでなく、「力が入らない」「動かない」といった運動神経の障害もよく起こります。

坐骨神経を構成する「脛骨神経」「腓骨神経」が同時に障害されている場合は、それぞれが分岐する前の障害がほとんどですが、今回は異なっていました。

「ゴルフ時のつま先で踏ん張れない」といった脛骨神経麻痺と「歩いていてつま先が上がらない」腓骨神経麻痺の方が仙腸関節と膝の調整で改善した症例をご紹介します。

症例

50代 男性

週に3回はゴルフに行っていたが、右お尻から、右鼠径部、右股関節の前面に痛みがあり太ももの前と外側にも痛みが出てきた。

それでも何とかゴルフをやっていたが、次第に右足首に力が入らず、膝裏にも張りと痛みが出て来院に至ります。

症状からの考察

「右足首で踏ん張ることができない」これは足関節の底屈筋である腓腹筋やヒラメ筋の障害ですので脛骨神経麻痺であることはすぐにわかります。

さて、この脛骨神経がどこで障害されたのかを評価しなければなりません。

脛にある筋肉もパンパンに張ってしまい、歩行時につま先を上に持ち上げることもかなりきついと問診で伺えたため、腓骨神経麻痺も同様に予想ができました。

本人も腓骨頭と呼ばれる骨を前に押すとつま先が上に上がりやすくなる、とおっしゃっていましたので、腓骨神経麻痺は腓骨の後方変位によるものというのは想像できます。

腓骨頭後ろにある腓骨神経

しかし、脛骨神経は、腓骨では障害されないため、大腿二頭筋による絞扼神経障害が起こっているか、もっと上部の股関節後面、仙骨、腰椎部での神経障害の疑いがまだ残っています。

その他の症状として、太ももの外側にも痛みが出ているため、大腿神経の障害も考えられ、神経の障害で考えてしまうと、足の神経全てが同時に障害されていることになってしまいます。

そういったことは考えにくいため、ある部分は関節の障害、ある部分は神経障害といった複合障害であることが予想できます。

触診と検査でこの辺を評価する必要があります。

触診・検査・評価

仰臥位での触診・検査

腓骨頭は右後方変位(大腿二頭筋過緊張)

膝は外旋・外転変位(大腿二頭筋の過緊張及び、股関節の内旋への過緊張)

右股関節屈曲制限・外旋制限

前面から腸骨を触診すると、上前腸骨棘が下方と内方変位、腸骨翼の外下方変位から、大腿骨頭に覆い被さっていることが予想できます。

股関節のインピンジメント
股関節のインピンジメント

これらの触診から股関節の屈曲変位は腸骨の調整で改善が見込めます。

腹臥位での触診・検査

仙骨右外方変位(梨状筋の過緊張)

右仙腸関節:上部外方変位(離開)、下部内方変位(狭小)

小臀筋の過緊張による腸骨の傾斜によって仙腸関節上部は離開し、梨状筋の過緊張による仙骨の右外方変位によって仙腸関節下部は狭小し、坐骨神経を刺激していることが予想できます。

仙腸関節の障害 一例

腰部の狭小による脛骨神経障害も考えられましたが、今回は、仙腸関節の調整で運動障害も痛みも改善しましたので、細かい腰部の触診状態の記載は割愛します。

評価と考察

ゴルフのスイング動作から診ても触診結果と一致したのですが、

右股関節を内旋する動作を繰り返し強制したのが痛めたきっかけだったということでしたので、右股関節を内旋かつ、骨盤の右傾斜を行う動作による筋収縮として一番強いのが小臀筋と筋膜張筋となります。

その筋肉の過緊張による仙腸関節の障害は、股関節の機能制限を引き起こします。

さらに、右股関節の内旋を地面に足が固定されている状態で強制すると、膝の屈曲と外旋の連鎖を引き起こし、腓骨頭が後方回旋し、腓骨神経を障害した。

また、寛骨の右屈による坐骨結節の内方変位によって大腿二頭筋は引っ張られ、かつ仙骨の外方変位と腸骨の右傾によって仙骨から体表へと出てくる坐骨神経部分を刺激し、脛骨神経も障害されたと考えました。

治療

治療として、仙腸関節の下端の狭小を改善させることで、SLR(坐骨神経伸長テスト)は改善し、足関節も3割ほど筋収縮が改善。

仙骨の外方変位の調整と坐骨の内方変位の調整でさらに3割改善しました。

腸骨の改善した後に、股関節の回旋と屈曲の可動性制限を牽引とモビリゼーションによって改善させ、腓骨頭を前方へと二頭筋のストレッチを兼ねて膝のモビリゼーションを行い、再度筋力を測ると左と大差のないほどまで改善。

腰部の痛みはその後も少しありましたが、右足の痛みは全くそのあとからなくなりました。

現在は、コンディショニングと肩や首の痛みを主に来院を継続しています。

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