来院される症状として最近増えているのが「頚椎症性脊髄症」です。
脊柱管が狭窄されて起こる脊髄症の1つで、椎間板ヘルニアや靭帯の肥厚、頚椎の変形など脊髄が圧迫される原因はさまざまなものがあります。
頚椎症性脊髄症の診断を受けていた方を初めて拝見したのは3年前でしょうか。その時は腕に焼き付けるような神経痛があり、その強い痛みが治るのに1ヶ月くらいはかかりました。それから3ヶ月くらいで症状は消失したのですが、MRIを何度も何度も拝見しては触診と照らし合わせてながら神経の圧迫ポイントを解放させようとしたことを今も覚えています。
その際にいろんな文献を参照していた甲斐もあってか、その方よりも今回の方の方が軽症だったのか、早く症状が寛解しましたのでこの機会にまとめていきたいと思います。
一応、重要な予後不良因子であるsnake eye appearanceは見当たりませんでした。
音声つき動画で説明したものもありますのでそちらもご参考までに載せておきます。
症例:頚椎症性脊髄症

70代女性
症状は、手の運動障害と感覚障害、首の運動障害、肩の運動障害、それに加えて発声と嚥下の障害があります。
10年以上前に来院されていた時に、「よくむせる」ということを仰っていたので、その時から首の問題はあったのかもしれません。
病院でMRIを撮影し、診断が「頚椎症性脊髄症」でした。

出ている症状からすれば、まだ手術するほどではないものの、症状の悪化が認められれば首の手術をすぐに行うような状態だということでした。
「頚椎症性脊髄症」はdynamic canal stenosisといって「動作時に起こる狭窄症」とも言われ、神経根障害と同じく動作時に痺れなどを起こすことも知られているため、今回のように首の運動障害と手の痺れは一つ黄色信号が出ていることがよくわかります。
ご持参いただいた画像とモーションパルペーション(動きの触診)とともに、どの頚椎をどのような方向へ動かしてあげれば改善できるか考えていきます。
画像から3Dモデリング

断層画像から3Dモデリングして、さらに第五頚椎の横断面を見てみると脊髄の圧迫ポイントがMRI画像と一致するものとなりました。
触診では第3頚椎の後方変位が最も固く、次に第6頚椎の前方変位、ついで第五頚椎の後方変位となりました。
治療後
触診で出ていたように、後方変位・前方変位を丁寧に調整をしていくと・・
ばね指の引っかかりもなくなり、手の強張りも痺れも改善。
首の運動障害・肩の運動障害・発声嚥下の障害もほとんど取ることができました。
ただ、状態が状態なので日によっての増悪・寛解もあり、しばらくは継続して治療を行なっています。
2024年は画像から3Dモデリングというのを症状が難しい方に利用するようになり、効果が一段と上がりました。
画像がない場合も状態を想像することが今まで以上にできるようになって治療効果が安定して出るようになってきました。
直後の効果が得づらい症状も、モデリングから導き出した調整方向を繰り返し行うことで、次第に運動障害も取ることができ、今年一年はさらに磨きをかけていきたいと思います。
参考文献
①Prevalence of cervical anterior and posterior spondylolisthesis and its association with degenerative cervical myelopathy in a general population
Kimihide Murakami, Keiji Nagata, Hiroshi Hashizume , Hiroyuki Oka, Shigeyuki Muraki, Yuyu Ishimoto, Munehito Yoshida, Sakae Tanaka, Akihito Minamide, Yukihiro Nakagawa, Noriko Yoshimura & Hiroshi Yamada
③とにかく基礎から固める脊椎の画像診断 MEDICAL VIEW
④臨床整形外科 2023.9月号 脊椎内視鏡下手術の進化・深化
⑤整形・災害外科 2022.2月号 脊柱変形矯正の進歩
⑥整形・災害外科 2022.8月号 上位頚椎疾患・外傷の病態と治療

