腰椎が前方にすべることを「すべり症」とよび、椎骨の後方支持機構に骨折を伴えば「腰椎分離すべり症」となります。
以前は椎間板によってすべる現象が起きると考えられていたが、分離すべり発症のピークは発育期にあり、その後は椎間板変性が進行する50代移行まで発症する頻度が低いことから発育期特有の病態の関与が推察されています。
参考論文:Lumbo-sacral subluxation. (Group 1 spondylolisthesis) D J Dandy, M J Shannon
今回の症例は50代の方です。つまり椎間板変性によるすべり症と考えて良いかと思います。
ただ、椎間板の変性を確認するような画像所見は取られずレントゲン画像から脊柱管狭窄症と診断を受けていました。
変形性腰椎症の脊柱管狭窄症を改善するのは難しいですが、滑り症による狭窄症は経験則ですが、比較的効果を出しやすい病態かと思います。
では症例検討していきます。
症例
50代 女性
症状:長く経っていたり、歩いていると太ももの後ろに前と張り感と痺れが出現。座って休むと症状寛解。
一度座ると立ちあがろうとすると腰が立たず、くの字に腰が曲がった状態にしばらくなってしまう。
症状は右側が強いが両側性
簡単に症状から分析すると
①神経障害から障害腰椎の予測
太ももの前の張りと痺れ=大腿神経障害(L2~L4の上部腰椎)
太ももの後ろの張りと痺れ=坐骨神経障害(L3~S1の下部腰椎)
②症状から病態の分類
長く歩いたり経っていると症状悪化、座ると寛解=間欠性跛行=脊柱管狭窄症
両側の症状から「神経根」よりも「脊柱管」の問題の可能性が高い
③画像診断から病態の細かい分類
診断名は滑り症による脊柱管狭窄症で画像はレントゲン画像のみ

L5は仙骨に対して、やや前方に滑り、L4はL5に対してだいぶ前方に滑っています。
そしてL3はL4に対してさらに前方に滑っています。
L2はL3の上に綺麗に乗っていますが、伸展しているため、後部の椎間孔はやや狭くなりがちで、L1に対するL2は椎間高が狭く椎間板変性が起こっているかもしれません。
各種初見から治療計画を立てる
画像初見からも上部腰椎・下部腰椎ともに前方から後方への動きを作ってあげれば改善が期待できそうなことがわかります。
レントゲン画像をもとに3Dモデリングをして、正常の背骨に対してどのような方向への力がかかっているかを予測してみました。
冒頭でシェアしている動画の中の正常の背骨に対する比較している箇所からシェアしています。
これでなんとなく治療するべき力の方向がわかっていきます。
症状から分析すると座るときにこのように腰椎が前方により移動し、そのため、立位に移行した際に前方に強く引き付けられ、腰を立たせることが出来ないのでしょう。
長く立っている際にも徐々に前方への移動が強くなる、もしくは股関節の伸展の可動性が悪いために腰椎の伸展の代償運動が起こり、より前方滑りを起こし脊柱管狭窄を強めていることが考えられます。
確かに仰向けになると右足の方は膝が浮いてしまい(トーマステスト陽性)股関節の伸展可動域が落ちていることがわかります。
治療計画
①仙骨の前傾をつくる

股関節屈曲時・そして座位時の前方滑りを抑えるべく、仙骨の前傾を作る(これには他にも深い理由がありますが割愛)
仙骨の前傾をつくることで第5腰椎の位置に仙骨底を合わせることが出来ますし、骨盤での股関節の屈曲をすることで中部腰椎での過剰な腰椎の前方移動による座位姿勢(もも上げ)を改善することが出来ます。
②股関節伸展可動性をつくる
股関節の伸展可動性をつくることで立位や仰向け時に代償運動として起こる、腰椎の前方移動を減らすことが出来ます。
ここで難しいのが、大腿頭の前方可動性をつくる治療の際に、腰椎の前方移動を起こし症状を悪化しやすいので、腰椎の力が逃げるような強い力を行ってはならないこと。
③第3腰椎・第4腰椎の前方から後方への可動性をつくる

腸骨筋弛緩ほうを大腰筋に応用し、かつ腰椎の前方移動が強い、L3、L4に対して行うことで腰椎の後方可動性を確保していきます。
③は①、②が改善しなければすぐに戻ってしまうため、メインとなる脊柱管狭窄部分の改善には、少々時間がかかってしまいます。
この方は親族が当院に通ってすごく良くなった経験をしているため辛抱強く通っていただけました。
治療の順序ですが、①、②を徹底的にまず治療してから③をやれば良いかというとそんなシンプルなわけでもなく、③が少し改善し、神経系の促通が達成されなければ①と②の改善も難しいため、この①、②、③を地道に何度も繰り返すことが大切です。
今回、割と良い調子になるまでに3ヶ月近くはかかりましたが、それくらいから治療頻度を減らしながらでも大丈夫になり、最終的には症状は解消できました。
にしむら治療院
東京都港区芝5−27-5山田ビル503
駐車場1台
Tel:03-6435-2437
website:https://hari.space/index.html
web予約:https://hari.space/contact.html
アギトス鍼灸整骨院
さいたま市中央区下落合1013-1スピカビル2階
駐車場4台
Tel:048-708-2011
website:https://www.agitos.jp/index.html
web予約:https://www.agitos.jp/contact.html

