日々難しい症状に当たっては、悪戦苦闘し、寛解した瞬間に技術の進歩を実感でき、毎回毎回成長させていただいています。
今まだ、試行錯誤を必要としている方はいらっしゃいますが、今回の1つレベルアップできた症例をまとめることで、今到達した世界を我がものとできるようにしていきたいと思います。
3回のWHYはトヨタのFIVE WHYと原理は同じです。症例検討しながら整理していきたいと思います。
答えに辿り着くまで、原因の原因の原因まで遡る、そういった感覚です。
症例:右股関節の詰まり
仕事:ダンス
ダンスをされている方は手足や体幹を動かす可動域も大きく、またスピードのコントロール、ジャンプ動作など幅広い能力が必要となるため、とても勉強になります。いつもありがとうございます。
症状:右股関節の詰まり(グロインペイン)の症状で、具体的には、足を上げると股関節の前がつまり痛む、足を外側に開くと内腿がつれる、踏み込み時に股関節の前面が痛む。
症状は典型的な股関節疾患の症状で、変形など器質的な変化がなければ治療が難しいものではありません。
①回目のWHY
なぜ股関節が詰まるのか
答え:右の仙腸関節が内旋(IN腸骨)状態でFIX(固定)されているので、寛骨臼蓋が後方を向き、股関節が内旋ポジションを取らされている。


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この寛骨の回旋異常による股関節の症状は今までに何度か説明しています。
太ももと脚の付け根の張り 肉離れ? 仙腸関節の状態から読み解く
確かに、右の仙腸関節の調整で右の股関節の動きは改善して痛みが取れました、翌週にはまた同じ痛みを患っていました。しかしその時には、右の仙腸関節は前回の治療の効果も残っており、FIX(固定)状態ではありません。
②回目のWHY
なぜ再度、股関節が詰まるのか
答え:仙骨の回旋異常(右後方変位)によって、寛骨の回旋と同じように寛骨臼蓋が右後方へと向きを変えていました。
前回は右の寛骨によって、今回は仙骨の右が後方に向きをかえ、寛骨はむしろ外旋(EX)腸骨となり、必死に股関節に対して適応しようと代償運動しているようでした。

つまり、1回目の状態からストレスを隣の関節に逃した状態であったようです。こういったストレス部位の変換は、すぐにまた同じ状態に戻ることが多く、これで解決するように思えなかったのですが、その通りでした。
直後は良いものの、やはりまた症状を再燃させてしまいます。
③回目のWHY
なぜこうも股関節を内旋させるのか
この答えが重要でした。
左の腰部が後方に回旋し、体を左に捻っている状態が本当の原因だったのです。
座った状態で体を左に回旋すると、左の腰部は後方に移動し、腰部の後方移動と対称的に左の骨盤は前方へと回旋する力を受けます。
この腰椎と骨盤のツイストが結果右の骨盤を後方へと移動する力(ストレス)をかけ、それが一度目は右の寛骨の内旋という状態にし、仙腸関節を緩めた2回目は仙骨にその力が止まっていた、ということだったのです。
気づき・まとめ
痛みが出る原因のWHYを解決するだけで良くなるものは、長年勉強してくるとそんなに難しくないのですが、それでもよくならない場合は、痛みが出る原因を作った状態を起こした原因のWHYにまで何度もなぜ?という問いかけが大切です。
今回も大変勉強になりました。