膝の外側の引っ掛かり 関節生理学からの視点

膝の内側と外側の関節構造学膝の靭帯損傷
膝の内側と外側の関節構造学

 膝の痛みの治療がなぜ難しいのか、それは関節の構造にあると私は考えています。

比較解剖学からの視点

膝関節を他の四肢の関節と比較すると肘関節に該当するのではないでしょうか。

四肢の関節をそれぞれ比較すると、股関節=肩関節、足関節=手関節、そして膝関節=肘関節である。

肘関節と膝関節の構成

肘関節は、橈骨と尺骨の「橈尺関節」、上腕骨と橈骨の「腕橈関節」、上腕骨と尺骨の「腕尺関節」の3つの関節で構成される。

では、膝関節はというと、大腿骨と膝蓋骨の「大腿膝蓋関節」と脛骨と大腿骨の「大腿脛骨関節」、そして膝関節の定義に含めるかは微妙ではあるが「近位の脛腓関節」があります。

近位の脛腓関節についてはここでは詳細を省きますが、腿の筋肉を効率よく使うための膝のお皿の関節、大腿膝蓋関節を除けば、膝関節はいわゆる大腿脛骨関節だけとなります。

肘関節の構成ではありますが、手関節と協調して動く橈尺関節を除き、膝関節と同様の屈曲伸展だけに絞ると、関与するのは、腕橈関節と腕尺関節の2つの関節で構成されています。

つまり、肘関節では腕橈関節と腕尺関節の2つの関節で構成されているのに対し、膝関節は大腿脛骨関節の1つとうことになります。

ここで、膝関節は治療のバリエーションが少なく感じる治療家は多いのではないでしょうか。

機能解剖学(関節生理学)的考察

関節の機能面で分けると、膝関節は内側と外側に分けなければなりません。

それは、関節の構造そして機能が内側と外側で異なるからです。

膝の内側と外側の関節の構造
膝の内側と外側の関節の構造

内側は凸と凹の構造になっているため、比較的安定した関節です。安定=不自由

外速は凸と凸(もしくは平)の関節となっているため、不安定、言い方を変えれば自由度の高い(柔軟性のある)関節構造となっています。

つまり、この関節構造の違いから、内側と外側には違った方法(ベクトル)での関節モビライゼーションを行わなければなりません。

この膝関節を、内側と外側に分けて考えて治療を行うには、細かい機能解剖学を知っていなければならないため、肘関節よりもバリエーションの少ない、臨機応変な治療と行かない、臨床的ではない治療にどうしてもなってしまいがちです。

Medial Pivot Motion

medial pivot motion (screw)
medial pivot motion (screw)

外側の関節は自由度が高いため、膝関節で回旋を行う場合に、内側関節面を中心軸に、外側が前後するようにできています。

屈曲伸展に伴う回旋

内側関節面の長さによる回旋
内側関節面の長さによる回旋

大腿骨内側顆は、外側顆に比べて縦に長いため、屈曲伸展する際に、内側は外側よりも多く動く必要があります。

そのため、屈曲位では膝関節は内旋し、伸展位では外旋することになります。

この考えが、Medial Pivot Motionと混同しやすいので注意が必要です。

というように、膝関節は内側と外側を別の関節として捉えて検査・評価・治療する必要があります。

筋肉や筋膜で捉えていては見えない世界が関節生理学や機能神経学で見えてきます。

機能神経学については膝特有の世界がありますが、今回は構造に絞ってご説明しました。

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