動画で一通りの流れを説明しました。
症例報告をもとに、一つ一つの解説に興味ある方は以下に記載していきます。
症例:30代男性 テニス
昔からテニス肘を患っており、体幹のトレーニングや肩の強化を行い始めて、その後逆に肩の痛みと運動制限が出現、今回の来院に至ります。
初診時と2回目までは肩の治療(胸郭出口症候群)のため、肩の可動域を評価として治療を行いました。
肩の痛みと腕の疲労感(こちらの症例で以前紹介しました。)
今回はその後、3回目の来院時における肘の検査と治療についてご紹介します。
まずは前回行った肩の治療について簡単に紹介します。

初診時の肩の可動域
第2肋骨が上方に変位し、第3肋骨は逆に下方に変位していたため、そこで大胸筋(および小胸筋)が緊張と機能制限を起こし、痛みが出ていると予想しました。
胸椎と頸椎の治療で肩の痛みはすぐに改善し、2回目の治療後は全く気にならないまでに改善しました。
3回目の来院時はメンテナンスで、ということでしたが、数年前からテニスをすると肘の内側が痛くなる、いわゆる野球肘、内側上果炎を指標として、治療を進めることにしました。
一般的にいうテニス肘というのは、肘の外側の痛みでひどいと物を握ることすら痛みが出てしまいます。
しかし今回は、肘の内側で手首を掌側に折り畳む動きや指を曲げる筋肉が付着する内側上果を痛めていました。
筋力テストで手首の固定力を評価してみます。
肋骨の変位によって肩の可動域が変わるということは、肘も同様に肋骨の問題で変わることがあります。
今回もそのパターンなのか、肩を下げた状態と筋力を比較してみました。
写真ではわかりづらいですが、手首の腱が肩を下げた時の方がはっきりと浮き出ているのが分かる方もいるかと思います。
つまり、胸郭出口症候群の症状が多少、肘の痛みにも影響を出していたことがわかります。
筋力が改善する肩を下げている状態と、筋力が落ちる肩を水平にしている場合で脊椎に何が起こっているか確認してみます。
すると、筋力が低下している肩を水平にしている状態では、左側弯(左凸の歪み)が現れているのがわかります。
ここで一つの疑問が出てきます。
①肩を下げている方が、脊椎ばまっすぐということは、腰や骨盤、股関節に問題があり、その部分を補正するために、体を傾けている。
※股関節の変位と肩の障害の動画が参考になるかと思います。
もしくは
②スイングする動作で起こる体の回旋時に体が傾くような異常動作がある
※椎骨のカップリングの動画を見ていただくと少し理解できるかと思います。
①かどうかを評価するために、座ったまま足踏み(股関節の屈曲)をしてもらいました。
左肩が上がり、右肩が下がってくるので、股関節も一つ問題点とわかりました。
②かどうかを把握するために回旋と側屈の関係をチェックしてみます。
骨盤の左回旋時は、体幹が左側屈できなくなります。
腹斜筋の一部が固くなっているようです。
※全ての検査の後、治療してみた結果、①と②は相関関係にあったようで、一方を治すともう片方も改善し、両方治療することでそれぞれの動きが問題なくなりました。
次に行った検査に戻ります。
左肩を上げなければ、肘がストレスなく機能することがわかりましたが、ここでまた一つ疑問が生まれます。
高いボールを打つ場合、体を右に傾けず(左肩を上げず)に打つことは不可能です。
どうすれば肩をあげても手首肘の筋肉が機能したままでいられるでしょうか?

より高い打点 Oリング
今回は、指のピンチ機能(Oリングテスト)で見てみましょう。
小指と親指をくっつけておけず、特に小指が私の力に負けて開いてきてしまいます。

テニス肘 骨盤と脊椎の補正
骨盤の触診で左側下がっていることがわかりました(左股関節の内転制限)。
骨盤を補正し、その際に起こる脊椎の歪みをまず補正し、再度筋力検査を行ってみます。

骨盤を補正した後のOリングテスト
つまり、左の骨盤が下がっているために、通常よりも左肩を上げる動作を入れなければ打点にたどり着くことができず、それが最初の肋骨の異常な上方変位を起こしていたと思われます。
実際の治療をこの後行い、検査の結果通り、筋力は改善、肘の内側上果炎の痛みもなくなりました。
下記二つの症例も関連したものですので参考にしていただければ幸いです。
肘の細かい検査と触診についての症例はこちら
西村 公典
安心安全な優しい施術
【にしむら 治療院】
東京都港区芝5-27-5山田ビル503
JR田町駅から徒歩2分、都営浅草線三田駅から徒歩1分、都営三田線三田駅から徒歩2分
Tel : 03-6435-2437
【アギトス鍼灸整骨院】
埼玉県さいたま市中央区下落合1013−1 スピカビル201
JR京浜東北線与野駅から徒歩5分、さいたま新都心駅から徒歩12分
敷地内駐車場4台完備
Tell : 048-708-2011