股関節の講義を長らくやっていたせいなのか、いろんな見方が身についてきます。
基本の股関節周囲の解剖学さえ知っていれば治る股関節の症状が4割
他の関節や神経の関連を知っていれば治る股関節症状が2割
股関節やその周囲の解剖学のかなり細かい部分を知って治せるのが2割、
そして残りの2割がいろいろ試してみて治せる場合と治らない場合とがある
これはどの関節の問題でも良く言われている傾向です。
整形外科の様に外科手術を伴わない限りは、我々の様なコメディカルと呼ばれる治療家で〇〇専門と言っているのは、この5割程度の人しか治せないということです。
これまでに肘や股関節の講義を受け持ってきており、いつもその関節の専門家の様にみられていますが、実際には神経学の方が専門に近いかもしれません。
最後の2割の方も良くなるように技術を磨き続けたいと思います。
今回は、股関節のインピンジメントやGroin Painと呼ばれる症状の方が立て続けに相談が見えたので、股関節の講義をしてきて見えた点を簡単にご紹介したいと思います。
ポイント
「動力学変換」と「股関節の自由度」についてです。
動力学変換とは、「関節の動き」とそれに対する実際に働いた「力」のことです。
股関節は球関節と呼ばれる屈曲伸展・外転内転・内旋外旋とデカルト座標軸の三つの方向へ動かすことができる自由度の高い関節です。
それゆえに、股関節の障害も屈曲伸展が問題となるケース、外転内転が問題となるケース、内旋外旋が問題となるケースがあります。
もちろんほとんどが問題となる運動軸を複数存在しているため厳密には分けることはできませんが、この問題となる運動方向を考えることで今まで治らなかった股関節の問題も改善してきます。
これが動力学変換と股関節のように自由度が高い関節を治療する際に考えなければならないポイントです。
股関節の問題を抱えてきた方々の症例を元に少し説明したいと思います。
症例:30代 ゴルフ
ゴルフだと左へと回旋していくスポーツの中で、右股関節の内旋による詰まる症状は、右股関節を内旋して蓄えたエネルギーが仙骨の機能制限によって骨盤の左回旋へと移行できなかったことが原因でした。
つまり回旋タイプに屈曲の要素が少し加わっています。
症例:50代 ウェイトトレーニング・ボクシング
ウェイトトレーニング中の左内転筋の肉離れは、スクワットする際に骨盤の変位がもたらす内転筋筋バランスの問題によるものでした。
こちらは屈曲タイプに内転外転筋のように骨盤の角度に応じて収縮しやすい筋肉が変わって起こる筋ストレスでした。
症例:10代 サッカー
そしてサッカーのインピンジメントおよびGroin Painは左足を動かす際に右股関節の問題によって左大腿骨への寛骨臼の被覆面増加がもたらした股関節の炎症でした。
こちらは屈曲した状態での外転内転や外旋内旋でのトラブルです。
足を引いた伸展時での症状もあるので全ての動作に影響が出ていただけに、股関節の被覆面を治療することで改善が見られました。
3つの症例からの考察
動画の動きをパッと客観的に捉えるだけでは股関節が悪いんだなーという印象ばかりですが、その原因は触診しなければたどり着けません。
例え肉離れであっても、見立てがうまくいけば、1回目の治療で6割は改善できます。
慢性疼痛の中には、サッカーの学生の様に、中には反対の足を治療しなければならなかったこともありました。この学生は、どこに行っても治らずとても苦悩しており、遠方からわざわざ通院されておりましたが、ほんの数回の治療でほぼ完治し元気に練習に励んでおります。
動きの問題は目で見て分かるのはごくわずかで、必ず触診から機能検査を行わなければなりません。
診る技術は見る技術ではなく、触る技術です。
今年一年中止となったセミナーも、参加者からの熱望する声が多く、来年は感染対策を行いながら実施する予定となっています。
また一年講師としての立場ですが、受講生の誰よりも私自身の勉強としてまた一年頑張りたいと思います。
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