ハムストリングスにおける機能解剖学として「半膜様筋と半月板損傷」について前回記載しました。
今回は、外側ハムストリングスである大腿二頭筋について症例を元に記載したいと思います。
テーマは、坐骨神経障害に至るプロセスを臨床解剖学的視点で考察します。
まず、臨床的に見た大腿二頭筋の骨盤へのストレスについて
大腿二頭筋の一般解剖学では、
大腿の伸展、膝屈曲位において下腿の外旋とされています。
動画の40秒目からある様に、足が固定されている状態では、体幹側に筋収縮時の引っ張る力が作用します。
二頭筋が収縮した際には、坐骨を外下方へと牽引し、骨盤が左回旋しながら右にスウェーしてきます。
この坐骨の変位によって、その外側を走る坐骨神経を刺激し、結果足の障害を起こしたり、大臀筋の収縮しづらい位置に骨盤が移動することで、起こる腰痛や股関節痛へと発展します。
今回の症例は、その二頭筋が起こしたランニング障害についてです。
症例:
女性:20代 実業団の選手
主訴は「右足のシンスプリント(下腿骨膜炎)」でした。
トレーナーやコーチからは臀筋がうまく使えていないので、臀筋のトレーニングと下腿のマッサージやストレッチを行い経過を見てきましたが、改善が見られず来院に至ります。
ランニング動作の視診と足関節の触診によって、後脛骨筋の過剰な緊張によるものとすぐに分かりました。
重要なのは、後脛骨筋が過剰に収縮するに至ったプロセスを読み解かなければ根本解決にはなりません。
全身の機能検査によって
骨盤の左回旋、下腿の外旋、足の外反しているのが確認できました。
筋肉については、
臀筋の萎縮、大腿二頭筋の過緊張、腓骨筋の過緊張、後脛骨筋の緊張
関節の機能検査では、
股関節の外旋制限、下腿(膝)の内旋制限、足関節の内反制限
考察:
通常、後脛骨筋の過剰収縮によるシンスプリントは、足関節の内反を利用しすぎること(ハイアーチも)で起こりますが、今回は足は外反傾向です。
ここで通常のセオリーでは治らないことがわかります。
足関節の外反を行いながら走る方法としては、下腿の外旋を行う傾向が強いため、二頭筋の関与が予想できます。
確かに膝は硬かったのですが、実際には、坐骨が外下方への引っ張りが強かったため、膝を見ただけでは、問題に気づかなかった様です。
体幹の方が、下腿よりも安定しているのが通常であり、一般解剖学では、二頭筋収縮により坐骨が変位するという考えはしません、臨床で解剖学を使う場合は、もっと原理に戻り力学的にとらえる必要があります。
治療:
二頭筋の硬い部分にコンタクトしながら、坐骨をリリースすることで臀筋の収縮力も改善し、走る速度も足の状態も良くなりました。
障害が出てから時間も経っていたので、足関節の調整、骨盤の変位や腰椎の代償動作の治療、肩や首の調整も必要でしたが、「大腿二頭筋と坐骨」のリリースから目まぐるしい回復をしたので、一番最初の問題は、そこだったのかと思います。
臀筋と坐骨の関係はこちらの動画がわかりやすいかもしれません。
治療を終えて
後々分かったのですが、速くなるトレーニングのために陸上競技トラックで左回りでいつもより速いペースで走っていた時期が怪我の前にあった様です。
きっかけは、
左回りでの速いペースによって骨盤の回旋と二頭筋の収縮を過度に行ってしまったことによる様です。
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