ゴルフで起こる股関節の痛みでは左足と右足で使う動きが若干異なるため、治療方針も左右で異なります。
右股関節であれば、インパクト時に右の腰から股関節を前に押し出す必要があります。
左股関節であれば、右の入れ込みに対して左を少し引くことと、壁といわれる様にインパクトまで体の捻る力と体重移動をためるために固定の役割を必要とされたりします。
普段はゴルフ後に腰下肢の筋肉痛程度の方が、ちょっとした力みから歩行困難なまでに痛みの増強が生じてしまった方の症例を紹介したいと思います。
もともと右股関節に疾患を持つため、無理をすると右股関節は痛み(重い痛みとビリッとした痛みの両方)を来すことがある患者さんです。
しばらく大きな問題がなかったため来院されませんでしたが、ゴルフ後から歩行も困難なほど増悪したので急遽来院しました。
足を持ち上げることができず、固定して歩いてきます。
先週末にゴルフの打ちっぱなしをしている最中に違和感を覚え、次の日ラウンドの途中から痛みが強く、さらに痛みが強くなっている状態です。
考えてみるとその前からちょっと違和感は出てきたということでしたので、慢性的な痛みと急性期の痛みが混同していることが予想されます。
右の骨盤が前方・内側に巻き込むような形になっていました。

右腸骨 後面外方 前面内方偏位
ゴルフの動きと非常に似ています。
腰椎は右側弯を来たし、痛みのある右股関節の上に体を乗っけているような雰囲気。

腰椎の右側弯モデル
理学検査
SLR R10° L40°
股関節屈曲 R80° L95°
外転 R10° L30°
内転R10° L15°
腹臥位膝屈曲R90° L60°(右股関節に痛み)
足首の関節も非常に緊張が強い。R>L
まとめると右股関節は可動域の低下が目立ち、ただ左膝を曲げると右股関節に痛みを出すことから、左の腰椎にも問題が診られることが予想できました。
腰椎は右凸の側屈変位。つまり左に下方変位が存在することが予想され上部腰椎は全体的に左下方変位でした。
左側を治療していきます。すると左膝を曲げても右股関節に痛みは走らなくなりました。
右骨盤の回旋と前方への変位を次ぎに取ります。
仰向けで股関節を動かすと、初動時にビリッと痛みますが、可動域はかなり改善しました。
つまりは腰部の右側弯と骨盤の変位が可動域の制限を起こしていました。
しかし初動時のビリッという痛みは取れず、試しに得られていた情報の足関節に注目しました。
つま先を上に上げる動きの背屈をすると抵抗がみらてます。
つま先を上に上げた状態で足を持ち上げるとビリッとした痛みがありません。
これは四頭筋の筋トレに足関節の協同を持たせると効果が高いことと同様の神経機構の働きであると予想されます

距腿関節の検査と調整
足関節の治療と股関節の牽引を行い歩いてもらうと普通に歩けるということでした。
ゴルフの動作とその人の体の雰囲気を読み取り、適切な検査と治療を行えば、急性期の歩行が困難な程度の痛みであってもすぐに改善することができます。
少しでもお力になれれば幸いです。
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にしむら治療院院長
さいたま市中央区下落合1013-1スピカビル201
アギトス鍼灸整骨院 代表
西村 公典