手のこわばりや腱鞘炎に肋骨の機能異常が多い

腰痛や肩こりだけでなく、足や手の痛みや運動障害で来られる方は少なくありません。

足を痛めて歩けなくなるといった具合に、手も障害が出ると物が持てない、ペットボトルのキャップが開けられないといった日常動作に何かと不便が出てきます。

以前にも手が焼けるように痛いといった症状に対してのブログを掲載しましたが、今回は「手のこわばり」を訴えて来られた方の症例についてお話しします。

手の神経支配

何度も話に出していますが、手の神経は首から出て、鎖骨の下、肋骨の上を通って各神経枝を出して肘を前後左右へと分岐して手まで向かいます。

ですので、手の先の障害が出た場合、真っ先に疑うのは「頚椎」「鎖骨と肋骨」「肩」「肘」「手首」というように神経の経路のどこかが問題が起きても手の先に症状は起こりうるのです。

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頚神経叢

記載した腱鞘炎の治療についてはこちら

ただ、頚椎の場合は、首が悪いからと言っても腰と背中の影響によって頚椎に支障を期待している場合は多く、結局のところ全身を治療しなければなりません。

さて今回は、そんな頚椎の問題が肋骨の機能異常によって起こった例をご紹介します。


症例

40代女性、左手の腱鞘炎から始まり、続いて右手の腱鞘炎が起こってきました。
彈発現象(バネ指)は最初起こっていたものの、経過とともに手のこわばりとして変化していきました。

来院時バネ現象は起きず、指が曲がらず、伸びることにも多少の制限があります。

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手の腱と腱鞘 解剖図
腱の解剖学 ネッターの解剖学参照
腱の解剖学 ネッターの解剖学参照
腱鞘の構造 ネッターの解剖学参照
腱鞘の構造 ネッターの解剖学参照

念のため、リウマチの検査も行いましたが、幸い陰性で腱鞘炎の治療を継続して様子みましょうとなっていましたが経過は変わらず、当院へと来院されました。

手のこわばりは最初から症状のある左手の方が強く、右手は深くは指が曲がらないものの、指が手のひらに触れられる程度でした。
一方左手の中指と薬指は曲げても手の平につかず宙に浮いてしまいます。
グーパーグーパーと離握手運動を素早く行ってもらうと、左手は遅れてしまい、すぐに腕全体がだるくなるというものでした。
この離握手運動はルーズテストと呼ばれる胸郭出口症候群の検査と似ているもので、腕全体がだるくなるという表現もまさしく胸郭出口症候群の症状と似ています。

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胸郭出口症候群

つまり斜角筋・鎖骨・肋骨・小胸筋のポイントで一つ改善できるポイントがありそうです。
実際に触診してみると、(下記の図)
左の第1肋骨、第2肋骨は下がり、第7頚椎は下の第1胸椎に比べて右に傾いています。
第8頸神経であれば過度のストレッチによる障害、第1胸神経であれば圧迫神経障害というところでしょうか。
椎骨の関節の動きを検査(モーション・パルペーション)すると第1肋骨<第7頚椎<第6頚椎の順に硬さが強くなっていました。

鎖骨はというと肋骨に比べて左右の差は少なく、肩甲骨を含めて上肢帯によって、歪みを補正しているようです。

胸椎の回旋異常

右の第一肋骨は上に上がっており、下に押さえながら、右手を動かしてもらうと右手に関しては自由に動くようになりました。

同様に左側の下がっている肋骨を上へ押圧をかけて左手を動かしてもらったら、こちらはまだ変化が出ません。

二次的に頚椎が歪んでいる場合はこういうことがたまにあります。
第1、2肋骨のように下方変位している部分を探してみると、仙骨及び骨盤が左下方変位、胸腰部移行部の左下方変位、肩甲骨下端部の左下方変位。

それらを一度治療をした後に、再度肋骨の左側を上方へと押圧しながら左手の検査をするとだいぶ左手の指が曲がりやすくなりました。

手根骨の矯正や指の関節の治療を含めて4回で指が手の平に触れられるようにまでなりました。
たまにまたこわばることもありますが、経過良く過ごされているようです。


手の痛みやこわばりで苦悩している人のお力になれれば幸いです。
今回は幸いにもリウマチではありませんでしたが、リウマチの場合も同様の治療計画で痛みはだいぶ取れてきます。

無理のない治療で寛解することができれば幸いです。

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